人間去り際が肝心

「喧嘩別れ」という言葉があります。誰かと折り合いが悪くなって、喧嘩して、サヨナラ。そういう別れです。

もちろんお互い人間なので、仲が悪くなることはあります。ただ、その人からの「去り際」はなるべくフレンドリーにしたいものです。いわゆる「穏便に」というやつです。

私は「みんなと仲良くしよう」とか毒にも薬にもならないことを言うつもりはありません。なぜなら、誰かとの別れは、必ずしも「今生の別れ」ではないからです。その人と偶然会ってしまうかもしれない、というわけではありません。どこかのタイミングで、その人を必要とするときがやってくるかもしれない、ということです。

私も、こういった経験があります。他の塾に通っていた私は、その塾のオーナーといわゆる喧嘩別れをしたことがあります。そのときは「ああせいせいした、やっとこの人から離れられる」と胸をなでおろしたものです。しかし、数年後、自分が働いている塾より、そこの塾の方が向いている生徒に出会いました。でも、別れ際がきれいでなかったので、紹介できない、というジレンマに陥ったのでした。

人はどこでどうつながっているかわからないし、これから先どうつながっていくのかわかりません。必要なときに必要な人とつながることができる、そんな人間関係を築いていくことが、生きていくのに重要だな、と思います。どんなに相手との相性が合わなくても、どんなに現在の環境がイヤでも、そこからの「去り際」はきれいにしたいものです。その「去り方」が今後の人生を左右することもあるからです。